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IOAP参加で大学・研究機関に必要なことは?―OA出版支援の実務まとめ

2 日前
読了時間: 5分


オープンアクセス(OA)出版を大学や研究機関として支援しようとすると、「新たにAPC(Article Processing Charge:論文掲載料)の予算を確保する必要があるのでは」「研究者から申請を受け付け、論文ごとに承認する必要があるのでは」と、運用面での負担が気になるかもしれません。


実際には、OA出版支援の仕組みやAPCの支払方法によって、機関側で必要になる対応は異なります。


MDPIでは、大学・研究機関を対象とした、機関オープンアクセスプログラム(Institutional Open Access Program、IOAP)を提供しています。今回はこのIOAPを例に取り、大学・研究機関がOA出版支援を始める場合、「何を準備する必要があり、何をする必要がないのか」という実務面に焦点を当ててご紹介します。



1.図書館や担当部署が論文を一件ずつ承認する必要はある?


IOAPに参加すると、所属する研究者がMDPIのジャーナルで論文を出版する際、条件を満たす場合にIOAP割引がシステム上で適用されます。


著者払い(Non-Central)の場合、責任著者か共著者かにかかわらず、IOAP参加機関に所属する研究者が一人でも著者に含まれていれば、IOAP割引が適用されます。割引率は責任著者でも共著者でも変わりません(複数の方が含まれていても同率となります)。


また、研究者が論文を投稿するたびに図書館や研究支援部門へ割引を申請し、担当者が一件ずつ承認することを必須とする仕組みではありません。IOAPでは、投稿時に使用される機関のメールアドレスなどの情報をもとに、著者と参加機関との所属関係をシステムが確認しています。


一方で、「自動的に割引されるので、大学側ではまったく何もしなくてよい」というわけでもありません。IOAPを円滑に利用するためには、参加時に機関情報を登録し、参加後には研究者へ制度を周知することが重要になります。



2.参加するとき、大学・研究機関では何を準備する?


IOAPの著者払いに参加する場合、大学・研究機関側では入会費や更新料などの追加費用はかかりません。所属研究者がMDPIで論文を出版しAPCが発生した段階で、割引が適用される仕組みです。


参加にあたっては、機関側の窓口となる担当者を決め、機関情報と所属研究者が使用するメールドメインを登録します。


メールドメインは、システム上で著者の所属機関を識別し、IOAPの対象者であることを確認するために必要な情報であり、参加時の登録が必須です。


一つの機関で複数のメールドメインを使用している場合には、研究者が実際に使用しているドメインを漏れなく登録することも重要です。たとえば、学部や附属病院などで異なるドメインを使用している場合や、大学統合などにより旧ドメインが引き続き使用されている場合が考えられるのでご注意ください。逆に、職員のみが利用しているサブドメインは対象外にするなど、例外設定も可能です。


また、IOAPへの参加後は、参加機関名がIOAP参加機関一覧に掲載されます。そのため、機関名の公開への同意も参加条件の一つとなります。


著者払いの場合は、研究者が従来と同様に自身の研究費等からAPCを支払いながら、所属機関に応じたIOAP割引を利用できます。



3.参加後、研究者への周知は必要?


IOAPでは所属機関の確認をシステム上で行いますが、研究者自身にも、所属機関がIOAPに参加していることを知っていただくことが重要です。


特に注意したいのが、投稿時に使用するメールアドレスです。所属機関とは異なるメールアドレスを使用した場合、IOAP参加機関の研究者であることが自動的に認識されず、割引が適用されないことがあります(別メールアドレスをどうしても使用したい場合などは事前にご相談ください)。


そのため、参加後には、


  • 所属機関がIOAPに参加していること

  • MDPIへの投稿時には所属機関のメールアドレスを使用すること

  • 不明な点がある場合の学内またはMDPIへの問い合わせ先


などを研究者へ案内しておくと、制度を利用しやすくなります。既にIOAPにご参加の大学では、学内専用Webサイトなどで案内されていることが多いようです。



4.利用状況は大学側で確認できる?


IOAP参加機関には、MDPIの論文投稿システム「SuSy」で機関向けダッシュボードが提供されます。


ダッシュボードでは、所属研究者の投稿論文やAPCの状況などを確認できます。また、必要なデータをレポートとしてダウンロードすることもできます。利用状況の確認はIOAP参加の必須条件ではありませんが、「全学で実際にどの程度利用されているのか」を把握したい場合には活用できる機能です。


IOAPの内容の詳細については、過去記事「日本国内のIOAP参加機関が50機関に」でもご紹介しています。



5.著者払いと機関払いでは何が違う?


IOAPでは、APCの支払方法について複数の運用が可能です。


著者払い(Non-Central)では、IOAP割引適用後のAPCが著者側へ請求されます。この場合、機関側で個々のAPCを支払うための予算を用意したり、請求書を一件ずつ処理したりする必要はありません。


一方、機関払い(Central)では、機関がAPCを支払います。そのため、対象となる論文の確認や請求・承認など、機関側での運用が必要になります。


OA出版支援に関する方針、APC予算の有無、既存の学内手続きなどに応じて、適した支払方法を検討することができます。



6.結局、大学・研究機関では何が必要?


ここまでご紹介した内容を、著者払いを中心に整理すると次のようになります。

項目

位置づけ

IOAPへの参加申込

必須

窓口担当者・機関情報の登録

必須

機関メールドメインの登録

必須

IOAP参加機関としての機関名公開

必須

研究者への制度・利用方法の周知

推奨(運用上重要)

IOAPへの参加費用

不要(著者払いの場合)

機関としてのAPC予算の確保

不要(著者払いの場合)

論文ごとの学内申請・承認フロー

不要(著者払いの場合)

利用状況の確認

任意

機関による請求・承認等の処理

機関払いの場合のみ


MDPIのIOAPについて詳しく知りたい大学・研究機関の方は、MDPI Japan(info-tokyo@mdpi.com)までお気軽にお問い合わせください。



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