top of page

世界で広がるMDPIの機関オープンアクセスプログラム(IOAP)~大学図書館・研究支援ご担当者の皆様へ~


MDPI Japanでは、大学図書館・研究支援部門の皆様に向けて、MDPIの機関オープンアクセスプログラム(Institutional Open Access Program:IOAP)をご案内しています。


国内でご説明の機会をいただく中で、「海外でも同様の仕組みが一般的に運用されているのか」「プログラムとして継続性があるのか」「割引だけするなんて怪しい(何か他のものを売り込まれるのではないか)」などといった観点から、検討が慎重になってしまうケースもあるようです。そのため、今回はIOAPの海外での事例についてお伝えしようと思います。


結論からお伝えしますと、IOAPは日本だけの取り組みではなく、北米・欧州を含む複数地域で、機関・コンソーシアムとの合意に基づき幅広く運用されています。たとえば、カナダにおける連邦系研究機関ネットワークとの合意、オーストリアでは大学図書館コンソーシアムとの契約更新が発表されています。


そもそもIOAPとは?

IOAPは、大学・研究機関・コンソーシアムの皆様が、所属研究者のオープンアクセス出版を進めやすくするためのプログラムです。主なポイントは、次の3点です。


  • MDPIジャーナルのAPC(Article Processing Charge:論文掲載料)割引

  • 機関向けダッシュボードによる全学の投稿・受理状況の可視化(大学単位での投稿論文の進捗の確認、レポート出力など)

  • 機関リポジトリへの自動登録(SWORD 1.3プロトコルを利用)


これらを通じて、研究者の投稿を後押ししつつ、機関としての状況把握や事務手続きの効率化にもつながる設計となっています。


海外でも進むIOAP:具体例(北米・欧州)

マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学、ケンブリッジ大学、ハイデルベルク大学など著名大学にすでにご参加いただいています(参加大学はこちらのページの下部「List of Participants」よりご確認いただけます)。以下は2025年にコンソーシアムとの間で締結した契約となります。


1)北米:カナダの連邦系研究機関ネットワーク(FSLN)との合意

STM Publishing News(学術出版業界のニュースサイト)では、MDPIが北米で初めてのコンソーシアム契約として、カナダのFederal Science Libraries Network(FSLN)との合意を結んだことが報じられています(2025年7月16日付)記事では、契約期間が2年間であり、複数のカナダ連邦機関(例:Agriculture and Agri-Food Canada、Environment and Climate Change Canada、Health Canada、National Research Council Canada、Natural Resources Canada)が、IOAPを通じてAPC割引を利用できることが記載されています。 IOAPは個別大学の枠を超え、複数機関を束ねる枠組み(コンソーシアム)でも運用されていることが分かります。


2)欧州:オーストリアの大学図書館コンソーシアム(KEMÖ)の契約更新

MDPIは、オーストリアの図書館コンソーシアム Kooperation E-Medien Österreich(KEMÖ)とのオープンアクセス契約を更新し、2027年末まで継続すると発表しています(2025年12月16日付)。この発表では、23機関がIOAPの対象となり、APC割引が提供されることが示されています。


なおKEMÖ側の情報ページでも、MDPIとの契約期間が2025年1月1日~2027年12月31日であることが明示されています。


図書館・研究支援部門の皆様にとってのポイント

IOAPの検討において、研究者個人の利便性だけでなく、図書館・研究支援部門の皆様が重視される点として、次のような観点があるのではないでしょうか。


  • 制度としての継続性・第三者性:北米の事例は業界メディアでも報じられており、検証が可能です。

  • プログラムの透明性:IOAPでは機関向けダッシュボードの提供などにより、投稿・進捗・記事情報の可視化やレポート出力ができる旨が公式に説明されています。

  • 機関リポジトリとの連携(SWORD 1.3):IOAPはSWORD 1.3を用いた自動登録に対応しており、ジャーナル公開と同時に大学の機関リポジトリに登録可能です(エンバーゴなし。実装前に連携テストの実施をいたします)。


MDPI Japanとしてご案内できること(日本語でのご相談)

MDPI Japanでは、ご関心のある大学・研究機関様に対し、貴学の体制(研究費の管理方法、学内の請求フロー、オープンアクセス方針等)に合わせて、運用イメージが具体化できるよう情報提供いたします。まずは情報収集の段階でも構いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。オンラインでのご相談も承っております。


IOAPは純粋な割引制度でありつつ、MDPI側にも日本市場での認知・信頼性向上という目的があります。そのためMDPI Japanでは、制度の透明性と参加実績の可視化を重視し、IOAP参加機関名の掲載許可を参加条件としてお願いしています。これは、出所の不明確な噂ではなく、実際の運用実績に基づいて制度を判断いただける環境を整えることを目的としています。


本記事が、IOAPを「噂」ではなく「事実」に基づいて検討いただくための材料になれば幸いです。MDPI Japanは、制度の透明性と実装面の確認を重視しながら、各機関の運用に合った形でご説明いたします。ご質問や確認事項がございましたら、MDPI Japanまでご連絡ください。

bottom of page