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Peer Review Week 2026「査読キャパシティ:量、速度、質」

11 分前
読了時間: 5分



Peer Review Weekは、研究の質と公正性を守るうえで査読が果たしている役割に注目する国際的な催しです。業界団体や学協会の代表で構成される運営委員会が企画・運営するコミュニティ主体の取り組みで、2026年は9月14日から18日に開催されます。毎年、出版社、研究機関、研究者が集まり、この仕組みを支えているものは何か、規模が拡大しても機能させ続けるには何が必要かを考えます。


学術ジャーナルは増え続けており、編集上のフィードバックや採否の判断を迅速に受け取りたいという研究者の期待も高まっています。しかし、査読者の対応能力は投稿論文数の伸びに追いついていません。学術界が査読者に求めるものと、査読者が実際に割ける時間との間にある差が、今年のテーマの背景にあります。


一方で、変わらないものもあります。質が高く影響力のある研究を発表しようとするジャーナルにとって、査読の水準は譲れない一線です。そしてその水準は、査読者が自発的に時間と専門知識を提供することで成り立っています。MDPIはこれを当然のこととは考えていません。年間20万人を超える査読者との協働を支えているのは、次に挙げる3つの約束です。



1つ目の約束:査読者の時間と判断を守る


すべての投稿論文は、チェックプロセスを経てから査読者に届きます。このプロセスでは、倫理面とScopeの確認に加え、外部査読に進めるべき論文かどうかをAcademic Editorが学術的な観点から判断します。その後、査読者検索ツール「Finder2」が、実際の論文発表実績にもとづいて候補を絞り込みます。論文のテーマと査読者の専門分野が合っていることを確かめたうえで依頼を送るためです。




2つ目の約束:質が高く効率的なプロセスを整える


適切な論文と出会うことは出発点にすぎません。依頼を引き受けたあとに作業を進めやすいかどうかも、同じくらい重要です。MDPIの査読はすべて投稿システムSuSy上で進みます。入力フォームは書式が揃っていて迷わず記入でき、疑問があれば担当編集者に直接問い合わせられます。ガイドラインには何をどこまで書けばよいかが示してあるので、書き始める前に報告書の構成を決められます。


MDPIでは、査読者と著者に査読プロセスの評価を尋ねる「Voice of the Community」という調査を継続的に実施しています。2025年の結果では、SuSyの使いやすさと査読ガイドラインの明快さが、評価する声としてとくに多く挙がりました。(詳細は後述)




3つ目の約束:査読者を評価し、還元する


明日の査読者層がどれだけ厚くなるかは、今日の査読者がどれだけ正当に評価されるかにかかっています。出版社からの評価だけでなく、査読者のキャリアを左右する所属機関からの評価も含めてです。


査読報告書を提出した時点で査読者の貢献が終わるわけではなく、MDPIの取り組みもそこで終わりません。APC割引バウチャー、Outstanding Reviewer Awards(優秀査読者賞)、Web of Scienceを通じた公式な実績記録に加えて、とくに優れた査読を行った方には編集委員会に加わる道も開かれています。


今年、MDPIのTop 1000 Reviewersプログラムでは、過去1年間の実績にもとづき、全分野から優れた査読者を表彰しました。受賞を承諾した743名のうち、310名が1,000スイスフラン相当のAPCバウチャーを、433名が500スイスフランの賞金を選んでいます。合計526,500スイスフラン(約65万米ドル)が、査読者コミュニティへ直接還元されました。




水準を保ち続けるということ


規模が大きくなっても一定の水準を保つことは、一度達成すれば終わりというものではありません。投稿を受け取るたびに問い直す必要があります。3つの約束も、そこを軸に組み立てられています。明日の査読者が評価され、その価値が認められること。それが、査読の仕組みを支え続けるための前提です。



査読者と著者の声を聞く:Voice of the Community調査


3つの約束を果たし、その内容を見直していくために、MDPIはVoice of the Community調査を実施しています。査読者からの回答は、支援が足りていない領域を見つける手がかりになります。


2026年の査読者調査(回答者1,627名)では、査読の経験を「良い」または「非常に良い」と評価した方が86%、担当した論文が自分の専門分野に合っていたと答えた方が88%、案内が明確で役に立ったと答えた方が92%、今後もMDPIのジャーナルで査読を引き受けると思うと答えた方が72%でした。


また査読を引き受けたいと思う理由を尋ねたところ、繰り返し上位に挙がる項目があります。論文のテーマと査読者の専門分野が合っていることです。最も多く寄せられる回答であり、2026年の第1四半期から第2四半期にかけて、その比重はさらに高まりました。Finder2のようなツールによる専門分野のマッチングが査読者の体験の中心にある理由も、ここにあります。


2026年の著者調査(回答者16,795名)では、査読プロセスを「良い」または「非常に良い」と評価した方が94%、査読者のコメントが論文の改善につながったと答えた方が95%でした。


調査に寄せられた一つひとつの声が、年間平均20万人を超える査読者への対応のかたちをつくっています。


調査結果(2026年1月1日~6月30日)
調査結果(2026年1月1日~6月30日)


ピアレビューウィーク期間中のMDPIウェビナー


ウェビナー:The Reviewer's Perspective - Navigating Volume, Speed, and Quality in Peer Review


MDPI Top 1000 Reviewer Awardを受賞した4名の査読者が登壇します。厳密さと効率のバランスをどう取っているか、増え続ける依頼にどう向き合っているか、持続可能で質の高い査読の仕組みにどう関わっているかを、直接聞くことができます。ご自身の査読に取り入れられる工夫が見つかるかもしれません。


参加費無料。お申し込みはこちらから。https://sciforum.net/event/MDPIPRW2026




ウェビナー:UK Reviewer Club 2026


英国を拠点とする査読者、そしてこれから査読を引き受けてみようと考えている方に向けた回です。参加者の経験、現場で直面する課題、実践されている工夫を共有します。ご自身の査読の進め方を見直す機会になるかもしれません。


参加費無料。お申し込みはこちらから。https://sciforum.net/event/UKERC2026



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