ここが知りたい!MDPI② 査読・編集プロセス
- info-tokyo8
- 1 日前
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MDPIやそのジャーナルについて、「MDPIは出版までが早いと聞くけれど、ちゃんと査読しているの?」「具体的にどんな編集プロセスなのか教えてほしい」という声をよく耳にします。
結論からお伝えしますと、MDPIでは投稿後にpre-check(技術的チェック/学術的チェック)を行い、その後、原則として複数の査読レポートを踏まえてAcademic Editorが最終判断を行う流れを採用しています。迅速さは、オンラインシステムを前提とした進行管理や、早い段階でのpre-checkによる要件確認など、プロセス運用の効率化によるものです。決して査読を省略しているわけではありません。
本記事では、MDPIの査読・編集プロセスについて、全体の流れ/関係者の役割/迅速さの理由/透明性の仕組みを整理してご紹介します(こちらのページに英語で記載されている内容となります)。
1. 査読・編集プロセスの全体像(投稿~最終決定)

MDPIでは、投稿後すぐに査読へ進むのではなく、まず事前確認(pre-check)を行った上で、査読へ進むかどうかが判断されます。
大まかな流れは次のとおりです。
1)Pre-check(事前確認:技術的チェック+学術的チェック)
技術的チェック(Technical Pre-check):編集部が、投稿先の適合性や基本要件、研究・倫理面の確認などを行います。
学術的チェック(Editorial Pre-check):Academic Editor(編集長/編集委員/特集号のGuest Editorなど)が、スコープ適合性や科学的妥当性(方法論や引用の妥当性など)を確認し、査読へ進めるか、査読前修正を求めるか、あるいは査読に進めずこの段階で不受理とするかを検討します。
2)Peer Review(査読)
多くのMDPIジャーナルでは、シングルブラインド査読を採用しており、少なくとも2名の独立した査読者のレポートが収集されます(ジャーナルによってはダブルブラインドを採用する場合もあります)。
3)Revision(リビジョン)
査読コメントを踏まえてリビジョン(改訂)が求められます。MDPIでは、改訂時はコメントへの回答をポイントごと(point-by-point)に整理することが求められます。
4)Editor Decision(最終判断)
最終的な採否判断は、Editor-in-Chief(編集長)または承認されたAcademic Editorが行います。MDPIスタッフはプロセスの進行管理や連絡窓口を担いますが、学術的判断そのものはAcademic Editor側が担う、という位置づけです。
2. 編集部スタッフとAcademic Editorの役割分担
MDPIの編集プロセスでは、著者・査読者・Academic Editorのやり取りがスムーズに進むよう、専任のMDPIスタッフが進行をコーディネートし、連絡窓口となります。一方で、査読に進めるかどうか、査読結果をどう評価するか、最終的に受理・不受理とするか、といった判断はAcademic Editor側が担います。
また、特集号(Special Issue)でGuest Editorが自分の論文を扱う場合など、利益相反が生じ得るケースでは、別のEditorial Board Memberが判断を担う仕組みが明記されています。
3. 統計データの確認
MDPIについて「査読が早い」とよく言われますが、まず重要なのは、スピードはジャーナルや分野・論文内容によって前提が異なるという点です。
MDPIでは、各ジャーナルページのメニューに Journal Statistics(ジャーナル統計)への導線があり、そこで査読・出版に関する指標が掲載されています。まずは、投稿候補ジャーナルの統計ページを確認するのが最も確実です。
例:「AI」誌の統計(2024年12月~2025年12月の各月データ)
「投稿から初回判定までの期間」

「受理から出版までの期間」

また、編集プロセス側の設計としては、
投稿直後のpre-checkで、スコープや要件の面から早い段階で方針が定まる
オンライン投稿・査読システムを前提に、関係者の連絡が集約される
リビジョン依頼時に「どのレベルのリビジョンか(minor/major等)」が整理され、対応が明確になる
といった点が、結果として「必要以上に長引かせない」運用につながっています(注:論文の内容や査読者の状況によって変動します)。
4. 透明性と公正性を担保する仕組み(査読者・利益相反・オープン査読)
査読の信頼性に関して、MDPIでは以下の点が明文化されています。
・査読者の利益相反(Conflict of Interest)
著者は査読者を推薦することもできますが、MDPI側で利益相反がないかを確認し、相反がある候補は採用しない、としています。また、著者が「除外したい査読者」を申告できる仕組みもあります。
・オープン査読(Open Peer Review:任意)
MDPIでは、オープン査読を選択できるオプションが案内されています。こちらをオプトインした場合、レビューコメントや編集判断を論文とともに公開でき、査読のプロセスを可視化することにつながります(査読者が署名するかどうかも選択制です)。
5. 著者側でできる「スムーズに進める」ための準備
査読の期間は、出版社側の運用だけでなく、著者側の準備でも変わります。投稿前後で特に有効なポイントは次のとおりです。
Aims & Scope(対象範囲)との一致を事前に確認する(pre-checkでの判断に直結します)
研究倫理・著者要件・データ等の基本要件を満たした形で投稿する(差し戻し・追加確認を減らす)
リビジョンを行う際は、査読コメントへの回答をポイントごとに整理し、どこをどう直したかを明確にする
(任意)透明性を重視する場合は、オープン査読の選択肢も検討する
本記事が、MDPIの査読・編集プロセスを具体的にイメージする一助になれば幸いです。


