研究者のための研究発信ガイド①なぜ良い研究でも論文が読まれないのか
- 1 日前
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何年もかけて研究を行い、論文を書き、査読を経て掲載された。
しかし公開後に論文の閲覧数や引用数を見て、「思ったほど読まれていない」と感じた経験はないでしょうか。
研究者にとって論文の価値は閲覧数だけで決まるものではありません。しかし一方で、どれほど価値のある研究でも、読まれなければその成果は十分に活用されません。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
良い研究でも埋もれてしまう時代
現在、世界では毎年膨大な数の査読論文が公開されています。
研究分野の細分化も進み、多くの研究者は自分の専門分野ですらすべての論文を追うことができません。日々、新しい論文、学会発表、研究費申請、教育活動などに追われる中で、研究者が使える時間には限りがあります。
その結果、研究の質とは別に、「見つけてもらえる研究」と「見つけてもらえない研究」が生まれています。
これは研究の優劣というより、情報量の増加によって生じる構造的な問題です。
優れた研究であっても、読者が存在を知らなければ読まれることはありません。
研究者は論文ではなく「答え」を探している
研究者は毎日、大量の情報に接しています。
しかし新着論文を順番に読んでいるわけではありません。
多くの場合、
「この現象について知りたい」
「この手法の先行研究を調べたい」
「査読コメントへの回答の参考になる研究を探したい」
といった課題から情報探索が始まります。
つまり研究者が探しているのは論文そのものではなく、自分の研究課題に対する答えです。
検索結果や推薦情報の中から、自分に関係のある論文だけを読みます。
そのため、どれほど優れた研究でも、必要な場面で見つけてもらえなければ読まれる機会は生まれません。
研究発信は宣伝ではなく「発見される機会」を増やすこと
研究発信という言葉に対して、自己宣伝のような印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし研究発信の目的は、自分を有名にすることではありません。
研究成果を必要としている人に見つけてもらうことです。
論文が公開された時点で研究が終わるわけではありません。
その研究を必要とする研究者や実務家が存在を知り、内容を理解し、活用して初めて研究成果は広がっていきます。
研究発信とは、研究成果を必要とする人に届く可能性を高める取り組みとも言えます。
まとめ
研究成果が届かない原因の多くは、研究の質ではなく可視性の問題です。
現在の研究環境では、優れた研究を行うことと、その研究を必要とする人に見つけてもらうことは別の課題になっています。
研究発信は、その課題を解決するための手段の一つです。
本シリーズでは、SNSの活用法だけでなく、研究成果を必要とする人に届けるための考え方と実践を取り上げていきます。
次回は、「学術的な文章」と「短く伝える文章」は何が違うのかについて考えます。


