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インタビュー:徳島大学・谷岡 哲也先生(MDPI Top 1000 Reviewers for 2025選出)

  • 7月17日
  • 読了時間: 5分



査読は、学術出版の質と信頼性を支える重要なプロセスです。MDPIは、研究成果がより正確で、説得力のある形で世に出るためには、専門家による丁寧で建設的な査読が欠かせないと考えています。


このたび、世界67の国と地域に広がるMDPIの約21万人の査読者コミュニティの中から、2025年を通じて特に継続的かつ質の高い査読にご貢献くださった1,000人の先生方を「MDPI Top 1000 Reviewers for 2025」として選出いたしました。


MDPI Japanでは、日本から選出された先生方に、査読者としてのご経験や、査読において大切にされていること、若手研究者へのメッセージなどを伺うインタビューを行っています。今回は第3回として、徳島大学大学院医歯薬学研究部 保健科学部門 看護学系 看護管理学分野の谷岡 哲也先生にお話を伺いました。



1.      「Top 1000 Reviewers for 2025」ご選出おめでとうございます。ご選出されたことについて、率直なご感想をお聞かせください。

 

身に余る光栄であり、正直なところ大変驚いております。世界中の優れた研究者の中からこのように選出していただけたことは、日々の地道な査読活動に対する大きな励みとなります。同時に、学術界の発展に寄与する査読者としての責任の重さを改めて実感しております。


 

2.      先生が査読をお引き受けになる際に、特に意識されていることはございますか。

 

最も意識しているのは、研究目的、分析方法(量的・質的研究を問わず)、結果、結論に一貫性(ロジックの整合性)が保たれているかという点です。また、論文のテーマが私自身のこれまでの臨床・研究経験や専門能力と合致しており、著者に対して責任ある適切なフィードバックを提供できるかどうかを考えた上でお引き受けするようにしています。



3.      論文を査読される際、研究の新規性、方法論、データの解釈、論文としての伝わりやすさなど、どのような点を重視されていますか。

 

ロジックの整合性に加え、研究の背景の妥当性や文章の「冗長性の排除」を重視しています。私自身、かつては日本語の発想のまま英文を執筆し、海外ジャーナルで採択されない時期を長く経験しました。その際、恩師の先生方から、同じ内容をイントロダクション、結果、考察セクションで安易に繰り返さないことや、文章間の齟齬をなくす配置の重要性をご指導いただきました。また、適切な改行や論理構成がなされていれば、過剰な接続詞は不要であり、それらを整理するだけで文章の明瞭さが見違えることも学びました。この経験から、査読でも「国際的な読者に論文の真意が正確かつ簡潔に伝わる記述になっているか」という点を特に拝見しています。



4.      査読コメントを書く際に、著者にとって建設的なフィードバックとなるよう心がけていることがあればお聞かせください。

 

私が講師の時代に、元上司のBetty Furuta教授から、「研究目的で『A・B・C』の順序で提示したならば、方法、結果、考察、結論に至るまで、論文全体を通して常にその順序を守って論理を展開しなければならない」という厳格なロジックの一貫性を叩き込まれました。また、「考察で結果の事実をそのまま繰り返すような冗長な記述をしてはならない」という点も深く教え込まれました。 加えて、私の留学先の恩師であり、看護理論「Nursing as Caring」の開発者であるSavina Schoenhofer博士(現在85歳)、および「Technological Competency as Caring in Nursing」の開発者であるRozzano Locsin博士(現在72歳)の教えを今も大切に守っています。先生方は今なお私の研究に対して非常に建設的な査読コメントをくださる現役の研究者であり、私の目標です。先生方からは「単に論文の不備を指摘するのではなく、どこをどのように改良すればより良くなるのかを具体的に示すべきである」と教わりました。そのため、査読意見を作成する際は、著者が前向きに修正に取り組めるよう、「自分がこの査読意見をもらったら、どのように感じるだろうか」と想像しつつ、代替案や具体的な改善の方向性を提示することを心がけています。



5.      査読者としてのご経験は、先生ご自身の研究活動や論文執筆にどのような影響を与えていますか。

 

42歳で教授に着任して19年が経ち、現在は自身の研究だけでなく、大学院生や若手研究者の論文執筆を責任著者として支援する機会が増えています。査読者としての経験は、日本人の研究者が国際的な英文学術誌へ挑戦する際の障壁を理解し、効果的な指導や助言を行うための貴重な知見となっています。また、査読を通じて最先端の解析方法や研究手法に触れることは、私自身にとっても絶え間ない「学びのプロセス」であり、自らのチームが投稿した際にいただく査読意見からも、常に多くの刺激と教訓を得ています。



6.      査読は、研究成果の質を支える重要なプロセスの一つです。先生は、現在の学術コミュニケーションにおいて、査読者が果たす役割をどのようにお考えでしょうか。

 

研究目的や仮説、それを実証するための方法論に齟齬があれば、導き出される結果も自ずと誤ったものになってしまいます。そして、誤った結果に基づく考察からは、決して正しい結論は生まれません。査読者は、学術界に発信される知見の科学的妥当性と倫理性を担保するための「門番」であり、同時に研究の質を共に高めていく「協働者」として、極めて重要な役割を担っていると考えています。

 


7.      これから査読を依頼される機会が増えていく若手研究者に向けて、メッセージやアドバイスがあればお願いいたします。

 

私自身、過去に自らのチームが投稿した際に、査読者の誠実な人柄や高い見識が伝わってくるような素晴らしい査読意見に出会いました。その査読者の先生方は、研究の本質的な価値を正しく評価した上で、論文としての完成度を高めるための具体的な改善点をひとつひとつ丁寧に示してくださいました。査読は単なる審査ではなく、次世代の研究を育む対話です。若手の先生方にも、ぜひ著者を尊重し、研究の発展を支えるような温かく建設的なフィードバックを目指していただければと願っております。私自身もそのような研究者であり続けられるよう、今後も精進してまいります。



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