研究者のための論文出版ガイド④Special Issueとは何か ~ 特集号の仕組みと研究者にとっての意味
- 22 時間前
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前回の記事「研究者のための論文出版ガイド③Response to Reviewersの書き方 ~査読コメントへの効果的な対応」では、査読コメントへの対応方法を紹介しました。論文投稿では、通常号への投稿に加えて「Special Issue(特集号)」という形で論文を募集する企画が設けられることがあります。
本記事では、Special Issueとは何か、通常投稿との違い、そして研究者にとってのメリットや注意点を説明します。
Special Issueとは何か
Special Issueとは、特定の研究テーマに焦点を当てて論文を集める特集企画です。通常号がジャーナルの対象分野の中で幅広く論文を掲載するのに対し、Special Issueでは特定のテーマを設定し、そのテーマに関連する研究を集めます。例えば「AIと医療画像解析」「持続可能エネルギー材料」「都市水環境の管理」など、明確なトピックが設定されることが多くあります。
MDPIでは、Special Issueは特定の主題に関する研究をまとめる論文コレクションとして企画されます。受理された論文は通常の号に掲載されますが、同時にそのSpecial Issueにも属する論文としてまとめて閲覧できるようになります。
Special Issueの編集体制
Special Issueは通常、その分野の研究者がGuest Editorとして企画・運営します。Guest Editorはテーマ設定や論文募集、査読候補者の提案などに関わります。投稿された論文は通常投稿と同様に査読プロセスを経て評価されます。
Special Issueであっても、投稿論文は通常の編集プロセスに従います。つまり、投稿後には編集部による初期チェックが行われ、その後査読者によるピアレビュー、リビジョン、最終判断という流れになります。最終的な掲載判断はAcademic Editor(編集長またはEditorial Board Member)が行います。
Special Issueへの投稿方法
Special Issueへの投稿は、通常の投稿システムを通じて行います。著者は原稿を提出する際に、該当するSpecial Issueを選択して投稿します。その後の査読プロセスは通常投稿と基本的に同じです。
研究者にとってSpecial Issueは、研究テーマが明確な投稿先であるという特徴があります。自分の研究内容が募集テーマと合っている場合、投稿先として非常に分かりやすい選択肢になります。
Special Issueに投稿するメリット
Special Issueの大きな特徴は、同じテーマに関心を持つ研究者の論文が集まる点です。そのため、関連分野の研究者に読まれやすく、同じ研究テーマに関心を持つ読者に見つけてもらいやすい場合があります。
また、特定の研究課題を中心に論文が集まることで、そのテーマに関する研究の流れや研究動向を示す場として機能することもあります。研究分野によっては、新しい研究領域や学際的テーマの議論がSpecial Issueから生まれることもあります。
投稿時の注意点
Special Issueへの投稿を検討する際には、いくつか注意点があります。
まず重要なのは、募集テーマとの適合性です。研究内容がテーマと十分に一致していない場合、投稿先として適切ではないと判断されることがあります。投稿前には、Special Issueのタイトルだけでなく、募集概要や対象トピックを確認することが大切です。
また、Special Issueには投稿締切が設定されていることが多いため、スケジュールを意識する必要があります。ただし、締切に間に合わせることだけを優先するのではなく、研究内容と原稿の完成度を十分に整えることが重要です。
なお、Special Issueへの投稿は、通常投稿より受理されやすいという意味ではありません。Special Issueの論文も通常論文と同じ査読プロセスを経て評価されます。
研究者がSpecial Issueを企画することもできる
Special Issueは、研究者自身が企画することも可能です。研究分野の研究者がGuest Editorとしてテーマを提案し、ジャーナルの編集部がその企画を承認すると、Special Issueとして論文募集が行われます。
これは主に一定の研究実績を持つ研究者が関わるケースが多いですが、研究分野の新しいテーマを提示したり、特定の研究コミュニティを形成したりする機会にもなります。研究分野によっては、Special Issueが新しい研究トピックを広める役割を果たすこともあります。
まとめ
Special Issueとは、特定の研究テーマに基づいて論文を集める特集企画です。投稿プロセスや査読の仕組みは通常投稿と同じですが、テーマに沿った研究が集まるという特徴があります。自分の研究が募集テーマと合っている場合、関連分野の研究者に見つけてもらいやすい投稿先になります。
通常号への投稿とSpecial Issueへの投稿にはそれぞれ特徴があります。どちらが近道かという視点ではなく、自分の研究内容を最も適切に伝えられる場はどこかという観点で投稿先を検討することが重要です。
次回の記事では、論文掲載料(APC)はなぜ存在するのかについて解説します。オープンアクセス出版の仕組みを理解するうえで、研究者にとって重要なテーマです。


