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研究者のための実務ガイド①リジェクトされた後にどう動くか ~次につなげるための判断と行動

  • 4月3日
  • 読了時間: 5分

論文投稿において、リジェクトは特別な出来事ではありません。分野やキャリアの段階にかかわらず、多くの研究者が経験するものです。


重要なのは、リジェクトされたこと自体ではなく、その後にどのような対応を取るかです。同じリジェクトでも、その後の判断と行動によって、次の投稿につながる場合とそうでない場合が分かれます。


本記事では、リジェクト後に取るべき対応を、感情面と実務面の両方から解説します。


まず感情と距離を置く


リジェクト通知を受け取った直後に、ショックや不満を感じるのは自然なことです。査読コメントに納得がいかないと感じることもあるでしょう。


ただし、その状態のまま対応を進めると、判断を誤る可能性があります。反論を考えたり、すぐに別のジャーナルへ投稿したりする前に、いったん時間を置くことが重要です。


一晩置いてから読み直す、共著者に共有して意見を聞くなど、少し距離を取るだけでも、コメントの見え方は変わってきます


何が起きているのかを整理する


感情が落ち着いたら、次に行うべきは状況の整理です。


リジェクトには大きく分けて、査読前に判断される場合と、査読後に判断される場合があります。前者はいわゆる Desk Reject であり、スコープとの不一致や原稿の構成・形式の問題など、査読者に回る前の段階での判断です。後者は査読を経た上での判断であり、内容や方法論、解釈の妥当性が主な論点になります。


また、エディターのコメントと査読者のコメントも役割が異なります。エディターはジャーナル全体の方針やスコープとの適合性を踏まえて判断し、査読者は個別の研究内容について専門的な観点から評価します。どちらの指摘が判断の決め手になっているかを見極めることが重要です。


リジェクト理由は、スコープの不一致、新規性の不足、方法論への懸念、説明不足など、いくつかの観点に分けて整理することができます。どの要因が大きかったのかを切り分けることで、次の対応が見えてきます。


査読者の意図を読む


査読コメントを読む際には、すべての指摘を同じ重みで扱わないことが重要です。


本質的な問題を指摘しているコメントと、表面的な修正で対応できるコメントは区別して考える必要があります。また、複数の査読者が共通して指摘している点は、優先度が高いと考えられます。


例えば、「This paper is not sufficiently novel」というコメントがあった場合、単に新規性がないと断定されているのではなく、既存研究との差分が十分に示されていない、あるいはイントロダクションで自分の研究の貢献が伝わっていない可能性があります。


このように、コメントの表現だけでなく、その背後にある意図を読み取ることが重要です。


次の選択肢を判断する


状況とコメントを整理したら、次に取るべき選択肢を判断します。


多くの場合、修正して別のジャーナルへ投稿する、大幅に作り直す、あるいはテーマや切り口を見直すといった選択肢があります。


判断の際には、指摘の内容が軽微なものなのか、論文構造に関わるものなのかを見極めることが重要です。また、スコープの問題であれば投稿先の見直しが必要になります。


この段階で、査読コメントへの回答書(Response to Reviewers)を作成しておくと、修正の方針を整理しやすくなります。各コメントに対してどのように対応するかを書き出すことで、論点の抜け漏れを防ぐことができます。


修正の進め方(別ジャーナルへの再投稿を想定)


ここでは、修正して別のジャーナルへ投稿するケースを想定します。


まず、査読コメントをもとに修正計画を立てます。査読コメントへの回答書をベースに、どの指摘にどう対応するかを整理すると、作業の全体像が見えやすくなります。


次に、修正の範囲を判断します。部分的な修正で対応できるのか、論文の構造自体を見直す必要があるのかを見極めることが重要です。


また、共著者との役割分担も再確認しておく必要があります。誰がどの部分を担当するのか、どの指摘を優先的に対応するのかを共有しておくことで、修正作業を効率的に進めることができます。


次の投稿先の選び方


再投稿先の選定は、前回のリジェクト理由を踏まえて行う必要があります。


単に掲載難易度を下げるという発想ではなく、自分の研究により適したジャーナルを選ぶことが重要です。スコープや読者層が合っているかを確認し、実際に掲載されている論文と比較して、自分の研究の位置づけを考えます。適切なジャーナルを選ぶことで、査読者から得られるフィードバックの質も変わります。


リジェクトを経験として蓄積する


リジェクトは一度きりの出来事ではなく、研究活動の中で繰り返されるものです。


査読コメントはその場限りの指摘ではなく、次の投稿にも活かすことができます。繰り返し指摘されるポイントを記録しておくと、自分の弱点や改善すべき点が見えてきます。


また、どのようなジャーナルがどのような観点を重視するのかも、経験として蓄積されていきます。こうした積み重ねによって、投稿先の選定や原稿の完成度は徐々に高まっていきます。


まとめ


リジェクトは研究の否定ではなく、プロセスの一部です。

重要なのは、その経験をどう扱い、次の行動につなげるかです。

一つひとつの対応の積み重ねが、次の判断をより確かなものにしていきます。

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