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世界の学協会・小規模出版社は、なぜJAMSを選ぶのか?~ジャーナル運営管理システムのご案内~

12 分前
読了時間: 7分



学術ジャーナルを発行するためには、投稿受付や査読だけでなく、多くの作業が必要です。


投稿原稿の管理、査読者への依頼やリマインダー、改訂稿のやり取り、採否の記録、論文の組版、XMLやPDFの制作、Web公開など、出版までにはさまざまな工程があります。論文掲載料(APC)を設定しているジャーナルでは、請求や決済の仕組みも必要です。


大手出版社であれば、それぞれの業務を支えるシステムや専門スタッフを社内に持つことができます。しかし、小規模な学協会や大学出版会、非営利出版社では、同じような体制を自前で整えることは簡単ではありません。


こうした出版組織を支えるための選択肢の一つが、MDPIが提供するジャーナル運営管理システム「JAMS(Journal and Article Management System、ジャムズ)」です。


JAMSは2019年にサービスを開始し、MDPIの投稿・査読管理システム「SuSy」をもとに開発されました。2025年には、学協会、大学出版会、非営利団体、中小出版社など、中小規模の出版組織向けのサービス群として再始動しています。 現在のシステムは英語ジャーナル向けに最適化されています。


では、JAMSにはどのような特徴があり、なぜ小規模な学術出版を行う組織の選択肢になっているのでしょうか。



JAMSを利用しても、発行主体がMDPIになるわけではない


まず明確にしておきたいのが、JAMSとジャーナル発行者の関係です。


JAMSはMDPIが運営する出版プラットフォームですが、JAMSを導入したからといって、学協会誌や大学出版会のジャーナルがMDPIのジャーナルになるわけではありません。


JAMSのFAQページでも、JAMSはプラットフォームサービスを提供するのみであり、ジャーナル出版社がジャーナル発行主体であることが明記されています。




編集業務を担うのも、それぞれのジャーナルです。JAMSは原稿を処理するEditorを提供するサービスではなく、査読者の選定や採否などの編集業務は、ジャーナル発行者側のスタッフが行います。JAMSのシステム上でも、Journal EditorやHandling Editorなどの役割を各ジャーナル側で設定する仕組みになっています。


DOIについても、出版社自身がCrossrefのアカウントを用意し、JAMSがDOIの登録をシステム上で支援します。APCを設定している場合も、著者から支払われるAPCはジャーナル側の銀行口座に入り、JAMSが受け取るものではありません。


つまり、JAMSが提供するのはジャーナル運営のための出版インフラです。


発行主体や編集方針、編集委員会、論文の採否といったジャーナルの中核部分は、それぞれの学協会や出版社が引き続き担います。



投稿受付から出版まで、ジャーナル運営を幅広く支援


JAMSの中心となるのは、投稿・査読管理システムです。


投稿、プレチェック、査読、リビジョン、採否決定までの流れを一つのプラットフォームで管理し、査読依頼やリマインダーなどの業務をシステム上で処理できます。   


しかし、JAMSが提供するのは投稿・査読管理だけではありません。


APCを設定しているOAジャーナルでは、請求書の発行、割引の設定、支払いリマインダー、クレジットカード決済、支払状況の確認などの決済機能を利用できます。


ジャーナルWebサイトの構築やホスティングにも対応しています。独自ドメインを利用したWebサイト、コンテンツ管理、モバイル対応、アクセス解析、技術サポートなどが提供されています。  


論文が受理された後の出版制作も依頼できます。WordやLaTeX形式の原稿をもとに、コピーエディティング、英文編集、レイアウト、JATS XMLやPDFへの変換などを行います。    


さらに、システムの操作方法だけでなく、ジャーナル運営に関する支援も提供しています。編集方針の整備、ジャーナルの認知度向上、学術データベースへの収載など、出版実務に関する相談にも対応しています。   


投稿から査読、制作、公開までを一つの環境でつなぐこともできるというわけです。



必要なサービスだけを選んで使える


一方で、これらをすべてJAMSに任せる必要はありません。


すでに独自のジャーナルWebサイトを運営している場合には、そのWebサイトを残したまま投稿・査読管理システムを利用できます。論文の制作を学協会自身で行ったり、既存の制作会社へ委託したりすることも可能です。


出版制作については、発行者自身で行う方法、JAMSのProduction Servicesを利用する方法、第三者へ委託する方法のいずれにも対応しています。


ジャーナル独自の編集ワークフローを設定したり、外部のツールと連携したりすることもできます。  


現在使っている仕組みをすべて入れ替えるのではなく、必要な部分だけをJAMSに任せることができます。この柔軟性は、すでに一定の出版体制を持っている学協会や小規模出版社にとっても重要です。



小規模ジャーナルでも導入しやすい料金体系


ここまで見てくると、気になるのが費用ではないでしょうか。


JAMSの投稿・査読管理システムには、StarterとPremiumの2つのプランがあります。


2026年10月現在、Starterプランでは、受理論文20報まで無料で利用できます。21報目からは、受理論文1報につき27米ドルです。RejectまたはWithdrawとなった投稿には料金が発生しません。


Premiumプランは、1報目から受理論文1報につき36米ドルです。Starterの機能に加えて、投稿・査読フォームのカスタマイズ、高度なレポート・分析機能、AIを利用したReviewer Finder、ジャーナル独自のメールドメインなどを利用できます。


なお、これは投稿・査読管理システムの料金です。コピーエディティングやXML・PDF制作などの出版制作サービスは、必要に応じて別途利用する仕組みになっています。 


年間の掲載論文数がそれほど多くない学協会誌の場合、投稿・査読管理システムに大きな固定費をかけることは難しいことがあります。年間20報まで無料というStarterプランは、そうした小規模なジャーナルでも試しやすい料金設計です。


2026年9月に学術コミュニケーションNPO「ScholAgora」でJAMSをご紹介した際にも、この料金体系には驚きの声がありました。



ダイヤモンドOAにも使いやすい仕組みを


料金を抑えた背景には、JAMSが2026年に導入したフリーミアムモデルがあります。


特に意識されているのが、小規模出版社や新しいジャーナル、予算の限られた出版組織です。著者にも読者にも料金を課さないダイヤモンド・オープンアクセス誌では、論文を無料で公開できても、それを支える投稿システムやWebサーバー、出版制作などの費用は必要です。


オープンソースのシステムを利用する方法もありますが、導入や保守にITの専門知識が必要になる場合があります。専任の技術スタッフを置くことが難しい小規模組織にとっては、ソフトウェア自体が無料でも、その運用が負担になることがあります。


JAMSは、専門的に管理されたシステムを低い導入コストで利用できるようにすることで、こうしたギャップを埋めることをフリーミアム化の目的の一つとして説明しています。

ダイヤモンドOA出版社やグローバルサウスのジャーナル向けの支援も掲げています。



低価格でも、簡易的な投稿システムではありません


JAMSは、小規模ジャーナル向けにゼロから作られた簡易的な投稿システムではありません。


MDPIが自社ジャーナルの運営に使用してきた投稿・査読管理システム「SuSy」をもとに開発されており、JAMSではその出版システムと運営経験を外部の出版社にも提供しています。 


現在のStarterプランにも、投稿・査読管理だけでなく、JAMSの各種連携機能、APC請求モジュール、Webサイトのテンプレートとホスティング、既存システムからの移行・導入支援、編集チーム向けのガイダンスが含まれています。


一方で、システムを導入しただけでジャーナルの質が保証されるわけではありません。

どのような研究を掲載するのか、誰に査読を依頼するのか、最終的に論文を受理するのかを判断するのは、あくまでジャーナルの編集委員会です。JAMSを利用するジャーナルにも、適切なEditorial Boardを設け、COPEの方針や実務に従うことが求められています。


JAMSが担うのは、こうした編集活動そのものではなく、それを支えるシステムと出版実務の部分です。



世界各地のさまざまな出版組織が利用


JAMSは現在、大学・大学出版会、学協会・国際機関、非営利・独立系ジャーナル、OA出版社や出版プラットフォームなど、さまざまな出版組織に導入されています。  


組織の規模や出版モデルは異なりますが、「自分たちのジャーナルとして運営を続けながら、専門的な出版インフラを利用したい」というニーズは共通しています。


特に、年間の出版論文数が比較的少ない学協会誌、専任のIT担当者を置くことが難しい出版組織、 ダイヤモンドOAを含む非営利ジャーナルにとっては、出版システムをすべて自前で開発・維持する以外の選択肢になります。


発行主体や編集方針は自分たちで維持しながら、その運営に必要なシステムや出版実務の一部を専門サービスに任せる。JAMSは、そんな形でジャーナルを運営したい学協会や小規模出版社のための選択肢です。



JAMSについて詳しく知りたい方へ


JAMSのサービス内容や最新の料金については、JAMS公式サイトをご覧ください。

導入事例はこちら。


日本語でのお問い合わせは、MDPI Japan(info-tokyo@mdpi.com)でも受け付けています。


※料金やサービス内容は変更される場合があります。最新情報はJAMS公式サイトをご確認ください。

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