JAMSがフリーミアムに移行した理由:学術出版をよりオープンに
- 3 日前
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(※本記事は、jams.pubの英文ブログ記事「Why JAMS is Going Freemium: Democratising Scholarly Publishing」を翻訳したものです)
JAMSは、投稿受付から査読、編集判断、制作、公開まで、ジャーナル(学術誌)の運営に必要な業務をひとつのプラットフォーム上で完結できる「ジャーナル運営管理システム」です。全工程をカバーする設計で、直感的に使えます。日々の運用を効率化し、編集者が最も重要な「研究の質と健全性の担保」に集中できる環境を実現します。
このたびJAMSは、より多くの出版社・学術雑誌が運営基盤を利用できるよう、フリーミアムモデル(基本無料、有料での拡張あり)の提供を開始しました。
JAMSとは

JAMSは、ジャーナルの運営に必要なタスクを統合管理できるプラットフォームです。著者の投稿受付、編集者による進捗管理、査読者のアサイン、査読の進行、編集判断などを、ダッシュボード上で可視化しながら運用できます。投稿状況のリアルタイム追跡や通知の自動化により、ワークフローを整理し、時間とコストを削減できます。
JAMSは、MDPIが提供するプラットフォームで、安定性と拡張性に優れたシステムとして運用されています。
フリーミアムモデルとは
フリーミアムモデルとは、基本機能を無償で提供し、追加機能や高度なサポートを有料プランで提供するモデルです。導入のハードルを下げつつ、必要に応じて段階的に機能を拡張できるため、デジタルサービスで広く採用されています。
小規模出版社、新興ジャーナル、予算が限られる学協会・機関にとっては、まず無償で使い勝手や運用適合性を試し、成長に合わせて有償機能を検討できる点が魅力です。
なぜフリーミアムへ移行したのか
JAMSがフリーミアムに移行した背景には、「より多くの人が学術出版の運営基盤を利用できるようにする」という方針があります。特に小規模出版社や発展途上国の機関では、予算の制約やインフラの課題により、適切な投稿・査読管理システムを導入しづらい現実があります。
JAMSは、より幅広い出版社や機関が利用できる環境を整え、学術出版コミュニティ全体の持続可能性に貢献することを重視し、フリーミアム化を選びました。プラットフォームとして十分な安定性と成熟度が整ったことも、この転換を後押ししています。
フリーミアムである「スターター」プランでは、年間最大20本の受理論文まで無償で利用できます(21本目から1本あたり27米ドルの料金が発生。リジェクト論文については料金は発生しません)。

ダイヤモンドOAを支える
フリーミアム化のもう一つの重要な意義は、読者も著者も費用の負担がない、ダイヤモンド・オープンアクセス(OA)の運営と親和性が高い点です。
ダイヤモンドOAでは、掲載料(APC)を著者に課さないため、雑誌運営側は限られたリソースで投稿受付・査読・編集・公開までを回す必要があります。そのため、低コストで柔軟な「オープンソース」の投稿・査読システムが選択肢になりやすい一方、技術的な運用負担(保守・更新・セキュリティ対応など)がハードルになることも少なくありません。
技術的ハードルを下げる
オープンソースは高い自由度が魅力ですが、導入・運用には技術的知見と継続的なメンテナンスが不可欠です。すべての出版社・学協会がその体制を持っているわけではありません。
JAMSは、無償で始められる入口を用意しつつ、プロフェッショナルに運用されるシステムとしての信頼性、セキュリティ、サポートを提供することで、このギャップを埋めようとしています。
これにより、ダイヤモンドOAを含む多様な運営モデルのジャーナルが、現実的な負担で一定水準の運営基盤を持てるようになります。
今後に向けて:500誌超の支援を目標に
JAMSは今後、500誌以上のジャーナルの出版を支援することを目指しています。単に数を増やすことが目的ではなく、予算に制約がある編集者や出版社にも、現実的に使える選択肢を提供したいという狙いがあります。
経験に裏打ちされた基盤として
オープンサイエンスの推進、研究成果の増加、編集プロセスの透明性への期待などにより、学術出版の運用負荷は年々高まっています。こうした環境で求められるのは、「効率的で、透明性が高く、継続運用できる」仕組みです。
JAMSは、MDPIの30年のオープンアクセス出版の経験を背景に、立ち上げ期の新しいジャーナルから、既存の運営体制を改善したい出版社まで幅広く支えることを目指しています。
アクセシビリティへの取り組み
フリーミアムモデルの採用は、JAMSが学術出版の民主化を掲げる姿勢の表れです。財政状況に左右されずに編集業務を回せる環境を広げ、より包摂的で公平な研究発信のエコシステムに貢献することが狙いです。
JAMSは、質の高い研究が適切に流通し続けられるよう、運営インフラをより多くの現場に届けていきます。
JAMSのフリーミアム化については、Research Informationでも取り上げられています。
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