MDPIと日本の研究コミュニティ
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更新日:4 日前

本稿では、「MDPI Japan編集委員会議2025」で共有したデータをもとに、日本の研究者・編集委員・査読者の皆さまとMDPIとのつながりを、いくつかの指標からご紹介します。個々のジャーナルや分野により状況は異なりますが、全体を俯瞰してみることで、日本の研究コミュニティとMDPIとの関係をあらためて捉え直すことができるのではないでしょうか。
日本の編集委員ネットワーク

まず、日本からMDPIジャーナルの編集に携わってくださっている先生方のネットワークです。
MDPIでは、多くのジャーナルで日本の研究者の方々に、Editor-in-Chief(EiC)、Section Editor-in-Chief、Associate Editor、Editorial Board Member として参画いただいています。分野も、医学、生命科学、化学、工学、材料科学、環境科学など幅広く、日本発の研究をよく知る専門家の視点が、編集判断やジャーナル運営に活かされています。
こうした編集委員ネットワークは、単に論文の採否を決める役割にとどまらず、
査読者の推薦
特集号(Special Issue)の企画
ジャーナルの方向性に関する提言
研究コミュニティとの橋渡し
など、さまざまな場面で重要な役割を果たしています。
日本の査読者による支え

MDPIの査読プロセスは、世界中の研究者のご協力によって支えられていますが、その中で日本の研究者が果たしている役割も小さくありません。
2024年にMDPIが受け取った査読レポートの中でも、日本からのレポートは一定の割合を占めており、材料科学、化学、工学、医療・生命科学などの領域で、質の高い査読を数多くお引き受けいただいています。
短期間での査読依頼が続くこともある中で、
専門的なコメント
方法論に対する丁寧なチェック
若手著者にとって参考になる改善提案
などをお寄せいただいていることは、MDPIジャーナル全体の品質維持に直結しています。日本からの査読協力は、まさに「見えにくいところでジャーナルを支える力」と言えます。
日本からの論文投稿と出版

次に、日本からの論文投稿・出版状況です。
ここ数年、MDPIジャーナルに掲載される日本発の論文数は着実に増加しています。分野別に見ると、特に材料科学、化学、工学、環境・エネルギー関連、医療・生命科学のジャーナルで、日本の研究者による投稿・掲載が多く見られます。
編集委員会議では、
日本からの論文投稿数
掲載論文数
採択率(Publications / Submissions)
日本からの投稿が多いトップジャーナル
などを共有し、日本の研究者がMDPIジャーナルをどのように活用しているかを、参加された先生方と一緒に確認しました。
数字そのものは分野やジャーナルによって異なりますが、共通しているのは「日本からの論文が、MDPI全体の研究アウトプットにおいて重要な位置を占めている」という点です。
アワードや表彰を通じた日本研究者の活躍

MDPIでは、優れた研究成果やコミュニティへの貢献を称えるため、Best Paper Award、Outstanding Reviewer Award、Young Investigator Award など、さまざまなアワード・表彰制度を設けています。
2024年にも、日本の研究者がこれらのアワードを複数受賞しており、
高い引用数やインパクトを持つ論文
査読者としての継続的な貢献
若手研究者としての顕著な業績
が評価されました。
これらの数値や受賞実績は、MDPIが日本の研究者コミュニティから多大な貢献を受けていること、そして日本発の研究がグローバルな読者層に届いていることを示す一つの指標となっています。
数字から見えるものと、これから

編集委員数、査読レポート数、論文数、アワード受賞実績。これらは、MDPIと日本の研究コミュニティとの関係を定量的に示すものです。
一方で、その裏側には、
編集や査読に時間を割いてくださる先生方のご協力
研究費や評価制度と向き合いながら投稿先を選ばれる著者の方々の判断
各大学・研究機関や図書館・研究推進部門の皆さまによる支援
といった、数値には表れにくい部分もあります。
MDPIとしては、今回の編集委員会議や、こうした数字の共有を通じて、日本の研究者の皆さまとより良いパートナーシップを築き、オープンアクセス出版を通じた研究成果の発信を引き続き支えていきたいと考えています。
MDPI Japan編集委員会議2025レポート [全3回]
MDPIと日本の研究コミュニティ(本記事)


