top of page

若手研究者が編集の現場に加わるとき ~ MDPIの早期キャリア編集委員(ECEBM)という経験

  • 7月29日
  • 読了時間: 5分

(※本記事はmdpi.comの英文ブログ記事「Benefits of Becoming an MDPI Early Career Editorial Board Member」を翻訳したものです)


研究者としてキャリアを重ねるなかで、論文をどう書き、どこにどう投稿し、どのように査読するのか、出版に関わる知識を身につけていくことは欠かせません。一方で、編集者の視点から出版倫理や望ましい進め方を深く理解する機会は、そう簡単には得られません。


早期キャリア編集委員(ECEBM)としてジャーナルの運営を補佐する立場に加わると、編集業務の実際を知り、出版の流れへの理解を深め、研究コミュニティや先輩の編集委員(EBM)と関わる機会が生まれます。


この記事では、MDPIのECEBMを務めることで得られるものと、担う役割について紹介します。



対象となる方


ECEBMに求められるのは、キャリアの初期段階にありながら、ジャーナルの発展に貢献できるだけの研究経験を備えていることです。MDPIのジャーナルを支える編集者としてこの役割に就くには、対象となるジャーナルが定める要件を満たす必要があります。要件には次のようなものが含まれます。


  • 研究関心がジャーナルのスコープに合致し、その分野で顕著な研究実績があること

  • 過去10年以内に博士号を取得していること(病気や家族の事情による休職など、キャリアの中断がある場合は例外を考慮)

  • ジャーナルの発展のために、意欲を持って時間を割く姿勢があること

  • 研究コミュニティで積極的に活動していること(学会発表の経験がある、専門団体に関わっているなど)



役割と業務


ECEBMは、編集長(Editor-in-Chief, EiC)とEBMが候補を募った上で選任します。ジャーナルによっては公募を行い、応募者のなかからEiCが人数を限って任命する場合もあります。若手研究者(ECR)は、新しい視点や行動力、専門分野の知見を持ち込み、編集委員会を補佐するとともに、ジャーナルの認知を自身の研究コミュニティへ広げていくことが期待されています。各分野の研究水準と信頼性を保つうえでも、その役割は欠かせません。


ECEBMが担う主な業務は次のとおりです。


  • 学会や同僚の間でジャーナルを紹介する

  • 質の高い論文を選び、英語と母語による広報用コンテンツを用意する

  • 年に4本以上の論文を査読する (訳注:実際の本数はジャーナルにより異なります)

  • ジャーナルを継続的に発展させるための新しい施策に、建設的な意見を出す

  • 各分野を牽引する研究者に投稿を呼びかける

  • 編集長の承認のもとで、投稿論文の事前チェックと査読者の適格性確認を行う


ECEBMを務めると、学術出版の信頼性を支える査読に、編集する側から関わることになります。編集者に求められる業界の基準を含め、査読の運用面を知ることは、研究者にとって得るものが大きいはずです。


MDPIは出版規範委員会(COPE)の会員として、COPEの原則、コアプラクティス、ガイドラインに沿って運営しています。


そのためECEBMは、COPEのガイドラインと、予防・中立性・透明性・一貫性というMDPIの原則を理解し、それに沿って判断する経験を積んでいきます。



参加することで得られるもの


ECRがジャーナルの運営と編集委員会を補佐する立場に加わることは、研究者にとってもジャーナルにとっても、さまざまな面で利点があります。


研究コミュニティへの関与が深まり、出版の実務への理解が進み、ジャーナルと研究者双方の評価にも良い影響があり、それぞれの学術的なネットワークも広がっていきます。


自分の分野で今どのような研究が進んでいるのかを幅広く把握できる点も、貴重な経験になります。そこから新しい研究のアイデアが生まれることもあるでしょう。


人的ネットワークとコミュニティ


編集を補佐する立場であっても、ジャーナルに関わることで職業上のネットワークは広がります。キャリアを築くうえで、この要素は軽視できません。同じ分野で国際的に影響力のある研究者とつながる機会も生まれ、自分の存在を知ってもらいやすくなります。


キャリアの早い段階で人的ネットワークを広げ、指導を受けられる関係を持つことが、長期的なキャリア形成を支えるという研究結果もあります。編集委員会は、ECRより多くの知見と経験を持つシニア研究者で構成されています。層の厚い編集委員会を擁するジャーナルのチームに加われば、関心を同じくする人々のなかからメンターを見つける機会が直接得られます。


その結果、シニア研究者と共同研究を行ったり、そこから学んだりする機会も増えていきます。編集委員会の一員として、編集長やEBMが企画する年次会合やオンラインセミナーに参加したり、自ら運営に加わったりすることもできます。


ジャーナルへの貢献と評価


ジャーナルに良い影響を与えられれば、専門知識と分野へのコミットメントに対する評価が育っていきます。研究コミュニティに積極的に関わり、学術の前進に貢献する研究者として知られるようになります。


MDPIのジャーナルでは、査読に協力してくださった先生方をWebサイトで定期的に紹介しています。ECEBMのプロフィールもジャーナルのSNSなどで公開され、学術的な認知の向上につながります。


MDPIの取り組み


MDPIは、編集を補佐する役割の枠組みを見直し、質と一貫性を保てるように整えてきました。多くのジャーナルで、ECRがチームに加わることを歓迎しています。


選考から任命までの流れ


選考は次の順序で進みます。


  1. 応募書類の一次審査

  2. 編集長とEBMによる選考

  3. メールでの結果通知

  4. 任命証の発行


ECEBMの任期は2年で、その後の更新も可能です。


MDPIのECEBMに関心のあるECRの方は、編集者向け情報(Information for Editors)のページをご覧ください。


MDPIでは現在、ECEBMを募集しているジャーナルが多数あります。応募書類は、ご希望のジャーナルのEditorial Officeまでお送りください。

bottom of page