インパクトファクターをどう読むか:2025年JCRで注目したいMDPIジャーナル5誌
- 2 日前
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(※本記事はmdpi.comの英文ブログ記事「5 Standout MDPI Journals from the 2025 Journal Citation Reports」を翻訳したものです)
Clarivate社は毎年6月、Journal Citation Reports(JCR)を公開し、Web of Science Core Collection収載ジャーナルのインパクトファクター(IF)を発表しています。IFは毎年更新されるほか、初めてIFが付与されるジャーナルもあります。
IFは、ジャーナルを評価し比較するための指標として広く使われています。ただしIFはあくまでジャーナル単位の指標であり、個々の論文の質についてわかることは限られます。それでも毎年のJCRの発表は、MDPIのジャーナルと、その背後にある研究コミュニティが積み上げてきた成果を振り返る機会になります。
今年のJCRには、多様な分野にわたる330誌のMDPIジャーナルが含まれています。ジャーナルごとに違った成果があり、そのどれもが紹介したいものです。
本記事では、その中から5誌を取り上げ、成功をひとつの数値だけでは測らない見方を紹介します。
Machine Learning & Knowledge Extraction(MAKE)
2025年IF:8.4
Emerging Sources Citation Index(ESCI)収載
2025年にIFが付与された330のMDPIジャーナルのうち、最も高い数値を得たのが MAKE(ISSN 2504-4990)です。
機械学習とその応用の研究に高度な議論の場を提供する同誌は、次の3つの主題分野でQ1に位置づけられています。
Computer science, artificial intelligence
Computer science, interdisciplinary applications
Engineering, electrical & electronic
3つのカテゴリでQ1を保っていることは、同誌に出版される研究論文の質の高さを裏づけています。
MDPIの最高値となっただけでなく、MAKE誌は今年、自誌としても過去最高のIFを記録しました。2023年の4.0から2024年に6.0へと伸びた流れに続き、2025年の8.4は同誌にとって過去最大の上げ幅になります。
MAKE誌の編集長(EiC)を務めるAndreas Holzinger教授は、2025年のIFを「共同の成果」と表現しています。著者、査読者、編集者、編集委員(EBM)、そして読者の「力の結集がこのジャーナルを形づくっている」ためです。
同教授は続けて、次のように述べています。
「このような評価は、著者が革新的な研究を投稿し、査読者が厳密で建設的な評価を行い、編集委員会が最高水準の科学的基準を保ち続けているからこそ実現します。そして最後に、出版社の努力もあります。この素晴らしい成果は、そのすべての方々のものです」

Antioxidants
2025年IF:8.2
Science Citation Index Expanded(SCIE)収載
今年、Antioxidants(ISSN 2076-3921)は8.2という高いIFを獲得し、MDPIで2番目に高い数値のジャーナルとなりました。あわせて、次の3つのカテゴリでQ1に入っています。
Biochemistry & molecular biology
Chemistry, medicinal
Food science & technology
抗酸化物質研究の発展に取り組んできた同誌は、2020年以降一貫して6.0以上のIFを保ってきました。さらに2025年には、6.6というIFにより、2024年JCRの発表におけるMDPIの最高評価誌となりました。
いっそう注目されるのは、2つのカテゴリ(Chemistry, medicinal、Food science & technology)でそれぞれ上位10%に入っている点です。影響力と分野を越えた重要性がうかがえます。
Antioxidants誌のEiCであるAlessandra Napolitano教授は、ジャーナルのIFを維持し高めていくには多くの面に目を配る必要があると語ります。
「この成果は複数の要因が重なった結果です。まず、論文の管理と査読の運用が効率的かつ誠実であること、そして投稿から受理、出版までの処理期間が短いことが挙げられます。加えて、盗用やAIの使用を確認するために日常的に行われるチェック、そして査読の全過程を通じて厳密に適用されるプロトコルも重要です[中略]。これらのプロトコルを厳格に適用することで、すべての論文が同一に扱われることが保証されます。これは、このジャーナルを選ぶ著者にとって決定的に重要な利点です」

詳しくは Antioxidantsのジャーナルサイトをご覧ください。
Biomass
2025年IF:6.7
ESCI収載
今年、Biomass(ISSN 2673-8783)は初めてJCRで評価の対象となりました。
初めてIFが付与されることは、新興のジャーナルにとって大きな節目です。そのジャーナルが支える研究コミュニティにとっては、出版された研究が読まれ、次の研究の土台になっていることを示す合図にもなります。
ESCIに収載された Biomass誌の初回IFは6.7で、初回のIF 6.7は力強い滑り出しといえます。さらに深い意味を持つのは、Engineering, chemicalのカテゴリでQ1に位置づけられた点です。
Biomass誌は、バイオマスの処理、価値化、変換、バイオリファイナリーおよび関連領域の研究成果を出版しています。2021年創刊の比較的新しいジャーナルであることを考えると、今回の成果はいっそう印象に残ります。
主要なデータベースへのこうした早い段階での収載は、例外的な出来事ではありません。著者、編集委員会、査読者が協力して影響力のある研究を生み出したときに起こる、直接の帰結です。
Analytica
2025年IF:7.4
ESCI収載
成長という観点から次に取り上げるのは Analytica(ISSN 2673-4532)で、基礎および応用分析化学のあらゆる側面について高度な議論の場を提供しています。
MDPIの全ジャーナルの中で、前年のスコアと比べたときに数値の伸びが最も大きかったのが このAnalytica誌でした。今回のIFは7.4で、2024年の3.6から3.8ポイントという驚くべき上昇です。
ESCIに収載されているAnalytica誌は、現在JCRのChemistry, AnalyticalカテゴリでQ1に位置しています。
Biomass誌と同じく、Analytica誌も新興のジャーナルです。今回の成果は、その研究コミュニティの努力を示すと同時に、新しいジャーナルを質が高く影響力のある学術交流の場へと育てていくMDPIの姿勢も表しています。
IFの著しい伸びを受けて、EiCのMarcello Locatelli博士は、編集委員会がどのように一貫性と質を保ってきたかを説明しています。
「この成長を持続させ、急速に拡大する引用環境の中で厳密な質と一貫性を確保するために、編集委員会はいくつかの重要な仕組みを採用しています。厳格な査読、編集による選定と評価、Special Issue(特集号)企画、研究公正と倫理、そして何よりも編集委員の専門性です。EiCおよび全編集委員は、今年得られた成果を維持し、確かなものにし、必要に応じてさらに高めていくために、努力を続けなければなりません」

詳しくは Analyticaのジャーナルサイトをご覧ください。
Batteries
2025年IF:6.3
SCIE収載
SCIEに収載されているBatteries(ISSN 2313-0105)の今年のIFは6.3となりました。前年から1.5の上昇です。
Batteries誌は、電池技術と材料を扱う国際的なオープンアクセスジャーナルです。2025年JCRの発表時点で、次のカテゴリに収載されています。
Electrochemistry (Q1)
Energy & Fuels (Q2)
Materials science, Multidisciplinary (Q2)
Batteries誌は、成功が最も高いIFや急激な年次上昇だけで決まるものではないことを、さまざまな面から示しています。一貫性もまた成功の土台であり、それは着実な成長の軌跡として表れることが少なくありません。
2022年にIFを初めて取得してから、同誌は毎年数値を伸ばしてきました。
2022年 4.0
2023年 4.6
2024年 4.8
2025年 6.3
着実な成長は、影響力のある研究を出版し続ける姿勢と、国際的な認知の広がりの両方を物語ります。
MDPIは多面的な研究評価を支持しています
初めてのIFであれ、過去最高のIFであれ、着実な成長と認知の広がりであれ、ここで取り上げた5誌は、MDPIの成功がひとつの形に限られないことを示しています。
MDPIは研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)に署名しており、高いIFはジャーナルが分野の中で占める位置についてある程度の情報を与えるものの、影響力の全体像としては限られた一面しか示さないことを、研究者の皆さまにお伝えしています。
MDPIでは、Altmetric.comが提供するAltmetricスコアを、論文単位の補完的な視点として利用しています。従来の引用に基づく指標とあわせて用いることで、研究がもつ社会的な反響も含め、影響力をより多面的に捉えられます。
MDPIジャーナルの2025年インパクトファクターについては、こちらの記事でさらに詳しくご覧いただけます。


